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simply funk
Artist :
AOKI takamasa
AOKI takamasa simply funk
Title :
simply funk
Label :
PROGRESSIVE FOrM
Cat no. :
PFCD11
Price :
2.520 yen (tax in)
Release :
2004. June 25th.
極めて"シンプル"で揺るぎのない「純度」と「強度」を抽出すること、つまり、そのプロセスこそが"ファンク"。力強い二文字に集約された青木孝允、傑作の5thアルバム!

今、青木君の音がフィットするのは僕だけじゃないよね、きっと。
音楽はますます歌詞やストーリーやメッセージが重視されてるけど、それって文字に近いと思うんだ。
でも音楽ってアイコンのようにもなれるわけで、そういう音が脳みそをカキーンとさせてくれる。
落ち着いていると同時にカキーンとしてて、心の在処が中心にきてるよ。
そのまま、持続でお願いします。

text : 細野晴臣

Tracklisting
01 :
that melody..    
02 :
superstrings 76    
03 :
M    
04 :
walk on the ocean - original by toad the wet sprocket
05 :
prague i.t.m.    
06 :
dancing queen    
07 :
protocol m.t.t.    
08 :
simply funk    
09 :
the elegant universe    
10 :
monza    
  Total running time : 57 minutes
Mastering : Masato Morisaki at saidera mastering
audio programming support : Isayama Gen
Artwork : Ryoichi Kurokawa, Masakatsu Mizutani and AOKI takamasa
 
P + C - PROGRESSIVE FOrM 2004

Press Release

 ファンクなんである。パーラメントなんかを指した言葉やそれに倣った音楽スタイルの総称としてのファンクではないけれど、でもこれはやはり「ファンク」だ。予兆はずっとあった。青木孝允の音楽的主題や興味が、常にビートを主体としたグルーヴの探求にあったことはよく知られている。しかし情報量の絶対的な膨大さで聴き手を圧倒してきた初期の『SILICOM』などとくらべると、この5thアルバムで記されている方法論の変化は明らかだ。もちろんこれまでも、例えば『indigo rose』だってそうだったし、ノンビートが主体の『Quantum』だってそうだったのだが、ラップトップ・ミュージックへの注目が最高潮に達した時期に颯爽とシーンに登場し、その音楽をまさに象徴づけていた複雑性を『SILICOM』や『SILICOM two』で一端引き受けて突き詰めながらも、徐々に青木孝允は、引き算の美学へと向かっていった。本作、『simply funk』は、そうした彼の変遷の、まさに完成型・到達点を高らかに宣言している。張りつめた緊張感と磨き上げられたディテイルがクールな興奮を呼び起こすM-2「superstrings 76」やM-7「protocol m.t.t.」、ムーディーマン主宰のマホガニ・ミュージックのビート感覚を独自にトランスフォームしたようなスローモーション・ハウスのM-6「dancing queen」(なんて確信犯的なタイトル!)、性急なBPMで煽りたてるような不安感に満ちたムードを反復の中で徐々に高揚感へと転化させていくM-9「the elegant universe」、そして自ら収集したF1マシンのエグゾーストノートを編集したM-10「monza」(青木孝允にとって、F1マシンのそれは「この世で一番カッコイイ音」なのだ)など、『simply funk』を支配するものは、虚飾をはぶいた剥き出しのエレメントだ。そこにはひとつの明確なステイトメントがある。無駄を極力削ぎ落とし、焦点をしっかりと定め、研ぎ澄まされたごくごくシンプルなビートとメロディのみで、極めてシンプルで揺るぎのない「純度」と「強度」を抽出すること、つまり、そのプロセスこそが、「ファンク」と読み替え可能なものである、と。

 もうひとつ大きな変化もある。それは「歌」の導入だ。それもすでに『indigo rose』で試みられた、ロボット・ヴォイスの歌でも、同じく『indigo rose』に参加していたツジコノリコといった他者の歌声でもない、青木孝允自身の「肉声」の導入である。M-1「that melody..」でのコーラスや、M-4「walk on the ocean」で、彼は実に朗々と歌をうたっている。とはいえ、それがあからさまにポップ・フォーマットへと近づいたものでないことは強調しておきたい(おそらく『indigo rose』の時には明確にポップ・ソングであることが意識されていたと思うのだけど)。歌声は、アルバム全体の流れの中で、予想もしなかったタイミングでフとあらわれ、奇をてらうでもなく自然に、またすうっと消えていく。ヴォーカルを導入したエレクトロニカが、ありきたり以上の結果を出すことができている例など今やそうはないが、こうした構成のバランスが、『simply funk』と「他の多く」とを分かつ線引きであることは確かだろう。尚、「walk on the ocean」は、青木孝允がフェイヴァリット・バンドに挙げるトード・ザ・ウェット・スプロケット(“REMの正統な後継者”と評された、カリフォルニア州サンタバーバラ出身の4ピース・バンド。1986年結成、2000年に解散)のカヴァーだ。アルバムに先駆けて、すでにライヴでもこのカヴァーは披露されている。

 2001年のシリコムとしてのデヴュー以降、青木孝允は極めて旺盛な制作意欲を銀盤にぶつけてきた。3年の活動期間の中で5枚ものアルバムをコンスタントに送り出してきた彼の、これは現段階での最新の成果であり、またキャリアの頂点に位置づけられる傑作だ。変化を恐れることなく、試行錯誤を繰り返しながら、とにかく彼は前進する意志を称述する。そうして作品を重ねる毎に刻まれた成長の証を端的に現せば、それはやはり本作のアルバム・タイトルでもある「シンプルさ」と「ファンク」という力強い二文字に集約されるのだろうと思う。

 最後に青木よりのメッセージを。「常に心掛けてはいますが、特に今回は音質、音の位置など、かなり考え込んで作り込みましたので、mp3に変換せずに、できるだけ良い音で、できるだけ良いサウンドシステムで聴いていただけるととても嬉しいです」 

text by 西山伸基(HEADZ/FADER)